靴の進化
人類が靴を履き始めたのがいつなのか定かではありませんが、紀元前3000年ごろには靴を履いていた痕跡があるようです。
それ以降、靴はヨーロッパを中心に発展してきました。
もし太古の人たちのように、ずっと裸足で生活していたら、人間の足はもっと進化していたのではないでしょうか。
足裏の感覚は鋭敏になり、皮膚はもっと厚く、足全体に筋肉もついていたでしょう。
足の指も今よりもっと使われて、太く大きくなっていたかもしれません。
今の私たちの足は、華奢です。
うすべったくて、筋肉もあまりついていません。
これは、靴を履くようになったからだと思われます。
靴は、外界の危険から足を守り、歩行をサポートするものとして、開発されてきました。
ところが、だんだん靴の機能性よりファッション性が重視されるようになって、むしろ足の機能を損ねるようになってしまいました。
足の形や大きさに合わない靴を履いたり、正しい履き方をしなかったりする人が増えています。
そうすると足先が圧迫されたり、靴の中で指が遊んだりして、さまざまな弊害を生みます。
窮屈な靴やつま先が細い靴を履いていると、足が圧迫されて指が重なったり、曲がったりしてしまいます。
指が自由に動かないので、指で地面をつかんだり、蹴ったりすることもできなくなります。
その結果、変形した足は、同じところが靴に当たって刺激を受け、靴ずれやタコ、ウオノメの原因にもなります。
おしゃれな靴が増えて、足のトラブルは、いまや誰もか大なり小なり抱える問題になってきました。
最近は子どもにも、扁平足や外反母趾が増えています。
こうした子どもたちの靴を調べてみると、足がすぐに大きくなるからといって、
親が大きめの靴を履かせたり、反対にいつまでも小さい靴を履かせたりしています。
こうしたサイズの合わない靴は、子どもの軟らかい足の骨を変形させて、悪い歩き方を身につける原因になります。
もちろん、靴に助けられることもたくさんあるでしょう。
しかし、その代償として人間は、動物としてあるべき足の機能を失ってしまったように思えます。
私たらはもはや、靴なしでは生活できません。
だからこそ、上手に靴とつき合っていかなければいけないのです。