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TISOKU

ゆっくりカタツムリのように。そこから世界が広がるはず。

「飽食」で日本人は健康を損なった

和食に含まれる成分は体にいい、と思われる。

 

しかし、普段の食事では、食品を単品で食べることはあり得ない。普通は、ごはんと味噌汁、魚や納豆などのおかずを同時に食べ、食後に緑茶をすすり、果物などをデザートとして食べる。さまざまな食品を同時に食べたとき、体の中ではどのような変化が起こるのか? そして、健康有益性はどうか?

 

疑問に思い、調べてみても、食事全体を調べた研究は過去にひとつもない。
 
例えば、ゴボウには食物繊維が、トマトにはリコピンという成分が入っているから体にいいという話は、誰もが聞いたことがあるだろう。

 

確かに、食物繊維は大腸の働きを促すため便秘予防になるし、リコピンは悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにするため代謝をよくする。

 

しかし、成分だけを研究しても、食事全体としての効果はわからない。
トマトとゴボウを一緒に食べたら体にいいのか? それにごはんが付いたらどうなのか?
納豆も食べるとどうか?

我々日本人が実際に食べている食事が、果たして身体にいいのか?


それが食べ物の健康に及ぼす影響の、もっとも正しい評価ではないのかと東北大学の研究チームは考えたのだ。


そして研究チームがまず行ったのは、1999年の日本食とアメリカ食を比べる実験である。

 

パン、ステーキ、フライドポテトなどのアメリカ食より、白米、煮物、味噌汁などの和食のほうが体にいいというイメージがある。それが本当かどうか?

データを元に、それぞれ1週間分、計21食の献立を作り、実際に調理し、それをすべて混ぜ、凍結粉砕し、3週間マウスにエサとして与えた。
  
その結果、和食はアメリカ食に比べて、非常に健康有益性が高いことがわかった。
和食は、体にストレスを与えない食事である。

 

そのため、代謝が活発になって、やせやすい体質になる。逆に、アメリカ食は体にストレスを与え、代謝が落ちる。つまり、太りやすくなってしまうのだ。

 

研究チームは食事の健康有益性の評価には、DNAマイクロアレイという手法を用いた。DNAマイクロアレイとは、遺伝子の発現量、つまり、活性化レベルを測定するものだ。DNAマイクロアレイを使うと、人では約4万、マウスでは約3万の遺伝子をいっぺんに測ることが出来る。

遺伝子の活性化の度合いを見ると、食べ物によって、体がどう変化したかがわかるのだ。

 
マウスの遺伝子を比較した結果、アメリカ食を与えたマウスは、和食をエサにしたマウスに比べ、ストレス性が高く、于不ルギー代謝、糖質・脂質代謝が低いことがわかった。
 
人間もマウスも、何らかのストレスを感じると、細胞の中で、ある特定の遺伝子が活性化する。つまり、アメリカ食を食べただけで、体はストレスを感じてしまうのだ。
 
この結果は、ある程度予想していたことだった。フライドチキンやハンバーガーと、肉じやがやヒジキの煮物を比べて、前者のほうが「体に優しい」と思う人はいないだろう。
 
遺伝子レベルで見ても、和食のほうが、ストレスが少ないことがわかったのだ。

ストレスとは、内臓が「無理をしてがんばっている状態」だ。
 
心や体と同じように、内臓にも強いストレスが加わると、健康が損なわれる。
 
アメリカ食を食べると、肝臓や腸などの消化器官は、一生懸命がんばって、消化・吸収しなければならない。「がんばる」ことは、臓器にとって、大きなストレスということだ。


一方、和食は、臓器ががんばらなくても、すんなりと消化・吸収ができる。体が無理をしなくても済む。つまり、ストレスが少ないのだ。

 

健康のためには、内臓に無理をさせないことが、何より大事なのである。
ただし、ストレスと言っても、今の能力で処理できるか、限度を超えて負担になってしまうかが問題だ。許容範囲を超えなければ、消化に時間がかかって、内臓がたくさん働いたほうがよいのだ。
 
しかし、限度を超えるような食生活が続くと、健康は損なわれる。
食べすぎで胃がもたれたり、お酒を飲みすぎて二目酔いになったりした経験は、ほとんどの人があるだろう。それは食べ物やアルコールが許容範囲を超えているという、内臓からの警告にほかならない。
 

内臓の能力は、民族や人種によっても異なる。日本人は、古来、あまり肉を食べない民族だった。そのため、ずっと肉を食べ続けると、体にとって大きなストレスになってしまう。
 
過剰な肉食が日本人の体にとってストレスになる。
 
世界には、さまざまな食文化がある。例えば、インド人は1年365日、カレーしか食べ
ない。アメリカでは、日本人の2.5倍以上も肉を食べる。カナダ北部に住むイヌイットの主食は、生のアザラシだ。人間の体は長い歳月をかけて、その土地の食文化に即した内臓の機能を作り上げてきたのである。
 
いくら日本食が体にいいと言っても、外国人がもし毎日和食を食べたら、ストレスになってしまうだろう。
 
今までとまったく違う食生活に替えることは、体にとって大きなストレスなのだ。
 
では、1975年型の食事はどうだろう。それは許容範囲の中で、従来の和食を改善した
ものだ。

 

80年代も半ばを過ぎると、飽食の時代を迎えて限度を超え、日本人は食によって健康を損なってしまったのだ。

 

関連参照:

スーパー和食。調査方法

ビタミン・ミネラル活用事典

老化。焦げ・枯れ・錆びと

シニアからの栄養学

サルコペニア予防  

つまらんことでしょうか