ヒトゲノム解読の話
ヒトの設計図「ゲノム」にはどんなことが書かれているのだろうか。
この解読作業はとてもやっかいなものだった。
1991年、ヒトの塩基配列を読む「ヒトゲノムプロジェクト」が始まった。
当初の参加国は、アメリカ、イギリス、日本、フランス、ドイツの5カ国に、途中から中国が加わり6カ国になった。
これには塩基の読み取り技術の進歩が必要だった。
そこで「DNA自動シークエンサー」が出て、以後技術革新が一気に進んでいった。
ヒトゲノムの塩基の数は30億ほど。
これが22本の常染色体と2本の性染色体に分かれて存在している。もっとも少ない塩基をもっている染色体でさえ4500万以上の塩基をもっている。
各染色体について分担していくことになり、日本はドイツとともに主に21番染色体を担当し、1999年にほぼ完成した。
この解読によって、この染色体がさまざまな病気の原因遺伝子をもっていることが判明した。
アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、急性骨髄性白血病などの原因遺伝子である。
また、この染色体の中には遺伝子が高密度にある領域とほとんど存在しない領域もあることもわかった。
また、ゲノム解読の過程で結成された国際チームと民間の会社とが解読の競争となり問題点が出てきた。
公共の財産となるものと考えられてきたヒトゲノム配列の情報が1企業の利益をもたらすために使われかねない状況となり、解決のために1996年に大西洋のバミューダ島で「バミューダ原則」がつくられた。
この原則によって、ヒトゲノムの情報は公共財産となり、特許権は認められなくなりました。
関連参照:
遺伝子検査で何がわかるのか?